■プリミティブの本来の意味
プリミティブとは、「原始的な、根源的な、初期の、太古の、未発達な、素朴な、粗野な」を意味する言葉、もしくは、そのような性質を備えているものを意味する言葉です。
英単語「primitive」に由来する外来語・カタカナ語です。
■IT用語としての「プリミティブ」
ITなどのコンピュータの領域では、複合体を構成する基本的な要素としてこの言葉が使われることが多く、単純あるいは基本的な構造や要素をこのように呼びます。
もともとは、「原始的な」という意味で使われる「プリミティブ」という言葉ですが、「原始的な」を「最初に備わっている自然のままの状態を保っている」と考えると、ITの分野での用法(単純あるいは基本的な構造・要素)もスムーズに理解できるでしょう。
(1)3DCGにおけるプリミティブについて
3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)で、複雑な図形のモデリングを行なう際に構成要素として利用できる単純な図形のことをプリミティブ、プリミティブ図形と呼びます。
たとえば、立方体や直方体、球、円柱、円錐、トーラス(ドーナツ型)などの立体図形がこれに該当します。
これらの図形は、ジオメトリ・プリミティブと呼ばれることもあります。
(2)プログラミングにおける「プリミティブ型」について
プログラミングの分野では、プログラミング言語にあらかじめ用意されている最も基本的な変数の型(データ型)のことを「プリミティブ型」(primitive data types)と呼びます。
これは、「組み込みデータ型」「基本データ型」などと呼ばれることもあります。
一方で、構造体やクラスのような「複合型」は、2個以上の要素の組合せで構成されています。
このような複合タイプではない、基本的なデータ型のことを「プリミティブ型」と言います。
たとえば、プリミティブ型の一つであるchar型は、文字(一文字)を代入することができる変数の型ですが、文字列を入れられる型(String型)とは明確に区別されます。
String型は「プリミティブ型」ではない(基本の仕様として、初めから用意されていない場合がある)のに対し、char型は基本の仕様としてあらかじめ用意されています。
プリミティブ型は基本的なものであるがためにできることが限定されるのに対し、プリミティブ型ではない変数の型は、できることの範囲も広いと考えてください。
プリミティブの関連用語としては、この言葉が使われる分野によって、区別する必要があります。
(1)3DCG
先述したように、3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)のときに使用する基本図形が、プリミティブと呼ばれます。
そのため、3Dで図形を描画するという場面で、プリミティブという言葉を理解していると作業が捗るでしょう。
(2)変数
プログラミングにおいて、変数の型の中でも、あらかじめ用意されている基本的なものを「プリミティブ型」と呼びます。
変数とは、「プログラミング言語における『値を入れておく入れ物』」です。
プログラムを組むという場面において、使う変数の型がプリミティブなものか否かというのは重要です。
ここでは「プリミティブ」という言葉を使った例文をご紹介します。
(例文1)このソフトでCGを作るなら、まずはプリミティブ図形から試してみたらいいよ。
(例文2)この変数はプリミティブ型だから、これに慣れたら、もっと自由度の高い変数を使ってプログラムを組もうと思う。