オンデマンド、もしくはオンディマンド(On-Demand)とは、英語で「要求(Demand)に応じて」という意味である。
そこから、クライアントからの要求に応じて、データを送ったりサービスを提供したりすることを意味する用語として使われている。
オンデマンド=動画配信というイメージが強いが、オンデマンド自体は動画配信のみを指す言葉ではない点に注意が必要である。
テレビ番組や映画などの映像コンテンツをデジタル化してサーバーに蓄え、利用者が好きなときに視聴できるシステムをビデオ・オンデマンド(VOD)と言う。
オンデマンド=動画配信というイメージが強いのは、ビデオ・オンデマンド(VOD)の普及によるものだと言えよう。
VODにおいて配信されるコンテンツは、公開済の映画や放送済の放送番組のほかオリジナルの映像作品もある。
課金方法としては、コンテンツごとに課金するもの、月会費や年会費を支払うと多くのコンテンツが観放題となるもの(サブスクリプションモデル)などがある。
なお、決められたスケジュールで配信されるインターネット放送は、厳密にはオンデマンドではない。
利用者の要求に合わせて少量の冊子や書籍を印刷・製本することをオンデマンド印刷という。
このように、「オンデマンド」という言葉はビデオ・オンデマンドに限定されず広い領域で使用されている。
「オンデマンドに(要求があり次第)」印刷をすることからこのように呼ばれるが、「カラーダイレクト印刷」と呼ぶこともある。
対置されるのはオフセット印刷である。
オフセット印刷は、最初に「版」を作成し、そこから紙に転写する方法で、印刷物の完成まで時間がかかる。
オンデマンド印刷は、「版」を作らなくても印刷することが可能なので、迅速に印刷することができる。
これを可能にしたのが、デジタル印刷機の登場である。
オンデマンドと関連のある言葉に、「クラウド」がある。
クラウドは大きく「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2つに分けられる。
パブリッククラウドは、企業や一般のユーザーに向けてクラウド環境をインターネット経由で提供しているサービスのことを指し、プライベートクラウドは、社内などより限られた範囲内にシステムを提供するサービスを指す。
ここで言うサービス提供を、クラウドコンピューティングと呼ぶ。
クラウドコンピューティングサービスの多くが、オンデマンドで利用できることをメリットとしている。
つまり、ユーザーが必要なときに必要な量のリソースへ容易にアクセスすることができ、コストも最小限に抑えられるオンデマンド方式のサービスが推奨されているのである。